2014年1月25日土曜日

あぶない! 目の前の高齢者が・・・(14.01.25)

 パソコンを持ち込みファミレスで仕事をしていました。すると突然、大きく腰が曲がった70代半ばくらいの男性が目に入りました。左手にコーヒーカップを持ち、4m先の自分の席に戻ろうしているところでした。
 上半身は床と平行になるほど曲がり、さらに右半身にはマヒがあり、自力で歩くのは無理としか思えない様子でした。それでも特有の足運びで5cmずつ、かろうじて前に進んでいます。左手のカップは傾き、今にもこぼれそうです。

 「あぶない!」と思った瞬間、中年の女性がものすごいスピードで席から飛び出し、助けようと男性に手を伸ばしました。ところが男性は女性に向かって一喝するような強い調子で「いいです!」と制止したのです。男性は不機嫌のようにも見えました。
 驚いた女性は自分の動きに急ブレーキをかけました。「どういうこと?」とでもいいたげな困惑した表情です。
 予想外の光景でした。親切な女性に支えられて安全に歩いていく姿を周りの誰もが予想していたことでしょう。男性はその女性にお礼をいうこともありませんでした。目をやることもなく、危なげな足取りで、時間をかけて自分の席に戻って行きました。誰もが絶対にこぼれると思ったコーヒーはこぼれませんでした。


人間の身体感覚はスゴイと思いました。周囲の目とは裏腹に、男性は粗相をせずに席に戻る100%の自信があったに違いありません。
 帰り際の駐車場で、また、その男性を見かけました。おぼつかない足取りで時間をかけながらクルマに向かっています。「まさか?」と思いましたが、運転席に乗り込み、あっという間に走り去っていきました。
 不自由なカラダであっても人の手を借りず、すべてのことを自力で行うという強い決意を持って暮らしているのでしょう。
 「支え」と「自立」ということについて考えさせられた日でした。