2012年8月19日日曜日

赤ちゃんトレーニング(12.08.19)

 アテネで金を取ったハンマー投げの室伏選手が、37歳にして再びメダルを獲得しました。昨年の世界陸上でも金メダルを取りましたが、注目を集めたのが、そのトレーニング法。 赤ちゃんの動きを参考にした“赤ちゃんトレーニング”です。
 鍛え抜かれた肉体を持つアスリートが、身体的には対極にある、赤ちゃんの動きを再学習しようという発想がとても面白い。


腕や脚が未発達の赤ちゃんは、寝返り動作や、ハイハイでも上手に身体(体幹部)を使っているということがヒントになったとか。逆読みすれば、四肢の発達とともに、ヒトは上手な身体操作を忘れてしまうということになるのでしょうか。 いずれにしても、室伏選手は身体を極限まで鍛えるという方法から、赤ちゃんのように全身を上手に使うスキルを身につける方法へとシフトさせ、年齢のハンディを乗り超え、ロンドンでも大活躍したという事実に注目しています。


 最近、体幹トレーニングがとても流行っています。確かに、体幹を鍛えることは大切でしょう。けれども、その前に体幹を上手に使うという発想が必要なのではないでしょうか。体幹というより、胴体部と表現した方がいいかもしれません。

 1964年の東京オリンピック、陸上100mで優勝した米国のボブ・ヘイズの走りを見たときはビックリしました。腕・脚の動きに胴体部を見事に連動させた動きで、動物最速のチーターの胴体部の動きを連想させるような走りだったからです。ロンドンでのボルトの走りも同様でした。

 アスリートの身体パフォーマンス向上でも、高齢者の日常動作パフォーマンス改善に向けても、室伏選手が取り組んだように、原点回帰し、身体を上手に使うという発想に学ぶべき点が多いのではないかと感じています。