2012年4月16日月曜日

チリも積もれば山となる(12.04.16)


 その人は40代くらいの男性でした。セミナーに参加された方で、「前腕のある部分が痛い」と、終了後に小走りで私のところにやってきました。
 痛いのは正にある一点で、私がその部分を指で押すと「ウッ」という声を漏らし、かなり痛そうな様子です。外傷があるわけではなく、次第に痛みが強くなったと言います。

 「何か原因として心当たりはありませんか?」と訊ねると、「全く分からない」とう返事。原因もなく痛み出すことはないので、いろいろ質問してみてピンときました。
 毎日5時間くらいパソコンに向かって仕事をしているというのです。痛い一点は手首を反らし、人さし指を動かすときに緊張する部分です。

 軽い負荷であっても年間に240時間も作業し、それを何年も繰り返していれば、特定部分が過剰に緊張して痛くなる可能性は十分考えられるでしょう。しかし、毎日繰り返している動作が原因になるとは多くの人は気がつきません。今までそれで困ったことがなかったのですから。

 そこで、この部分の緊張を和らげるため、痛い部分を指で押えながら、痛みが消える動作(自動運動)を探りました。
 次は、その動作に数秒間、軽い抵抗をかけて脱力。これを3回ほど繰り返すと、痛みは完全に消えてしまいました。要した時間は1分ほどでしょうか、あまりにも簡単なアプローチと結果に、その男性はキツネにつままれたような顔をしていました。

 ただ、このようなアプローチで一時的に痛みが軽減したとしても、原因を放置すれば、いずれまた繰り返すことになります。因果関係の検証は難しいかもしれませんが、原因としての可能性が考えられるならば、それを排除・軽減するアドバイスが何よりも重要となるでしょう。