2011年10月9日日曜日

ヒザ痛者はなぜ階段を横向きに下りるのか?(11.10.09)

 40歳以上の日本人の63%がヒザに痛みを抱えているという調査報告があります。そしてその半数以上は「階段の上り下りがつらい」と答えています(2007,科研製薬,生化学工業)。健康のためには運動が必要といわれても体重を支えるヒザに痛みがあれば運動どころではないかもしれません。

 さて、駅の階段を横向き(カニ歩き)で下りていく人を見かけることがあります。恐らく、前を向いて下りる通常の動作ではヒザが痛いということなのでしょう。
 ではどうして、横向きに下りるとヒザが楽なのでしょうか?
 先ずわかるのは、手すりにつかまりながら下りるので、転倒の危険性が減るということです。また、手で支えているので当然ヒザへの負担も軽減されます。さらに良く動作を観察すると、「横向き下り」と、「前向き下り」では下半身の使い方が大きく異なることがわかります。


 前向きで下りるときは、股関節があまり曲がらず、主にヒザ関節で体重を受ける動作になりがちです。ところが横向き動作では股関節も大きく動きます(写真)。股関節の大きな筋肉が活動し、ヒザ関節との協調動作が起こるので、ヒザへの負担は大きく減少することになります。
 階段の上りより、下りの方がつらいという方が多いようです。これは上りでは股関節の動きが大きいのに対して、下りではかなり小さくなってしまうこととも関係しているでしょう。
 股関節をうまく使えれば前向きに下りるときでもヒザへの負担を軽くできる可能性を示しています。