2011年7月9日土曜日

いつか行く道(11.07.09)

 私には現在90歳になる父がいますが、母は78歳で亡くなりました。70歳を過ぎたころでしょうか、母は何度か、「お前にはわからないだろうが」と前置きしながら、老いていく苦しみについて私に訴えたことがあります。
 誰もが、いつか行く道ではありますが、そこへ到達していない身に、それを実感せよというのは無理な話です。いつか来た道はわかっても、いつか行く道については、現実感が乏しくなるのは仕方のないことでしょう。
 もし、老いや老いから生ずる不幸を嘲笑う人がいたとしても、その人もいつかは同じような道を辿り老いていくという厳然たる現実があるのです。

 日本の高齢者人口は23%を超え、世界で類を見ない超高齢化社会に向かっています。4人に一人が高齢者になる時期も近いと話題になりますが、地方では既に30%に近づいている町もあります。
 高齢になり、死にいたる道はすべての人に平等に与えられた道、いつか行く道です。それは誰もが知っている理屈です。この事実から目を反らすことなく向き合うことがとても大切なことのように思います。
 高齢者はその生きざまをもって、私たちに様々なメッセージを残しているのではないでしょうか。それは、「あなたの将来の姿ですよ」と言っているかもしれないし、反面教師としてのメッセージなのかもしれません。