2010年10月4日月曜日

科学的理論の限界(10.10.04)


タイム かなり昔のことですが、競泳男子100m自由形の限界は50秒であるという、某科学者の実験データーに基づく主張がTVや新聞で紹介されたことがあります。しかし、それから間もなくして開催されたモントリオール五輪(1976年)の100m自由形決勝では、アメリカのジム・モンゴメリーが50秒の壁を破り、49秒99という記録を出して優勝しました。
 前出の科学者の説からしても、これが人類の限界かとも思われましたが、その後も記録は短縮されていくことになります。1985年には、マット・ビヨンディが49秒の壁を破り、2000年にはピーター・ファンデンホーヘンバンドが48秒の壁を破る47秒84という記録を打ち立てています。ちなみに、現在の世界記録はブラジルのシエロフィーリョの46秒91(2010年2月26日現在)。
 振り返れば、50秒限界説を唱えた科学者の論拠は何だったのかということにもなりますが、このようなことは珍しいことではないのでしょう。
 私たちは、得てして科学的理論というようなものを目の前に突き付けられると、水戸黄門の印籠のように無条件でひれ伏してしまうようなところがあります。
 科学は発展への拠り所になることは間違いありませんが、科学的知見にも優劣のレベルがあり、研究デザインや考察には限界があることも認識しておく必要があるでしょう。